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パーキンソン病の特効薬は「気の持ちよう」。

75歳の父がパーキンソン病を患ってもう10年ほどになります。
65歳の定年とほぼ同時に発症したことになります。
官庁勤めだった父ですが、きっとその重圧から解き放たれたことが、
悪い方に作用してしまったようです。
「これからは自由に生きよう!」ではなく「ぽっかり穴が開いてしまった」と
考えてしまったのでしょうか。
もともとメンタル面ではそれほど強くなかった父なので、そう考えてしまったのも
無理からぬ事と思います。

 

発症してから3年ほどは目に見えるほど悪くなっていきました。
私は実家に頻繁に帰れるような距離には住んでいないため、
顔を見るのは年に3回ほど。たまにしか顔を見ない分、余計にその病気の進行を感じてしまったのでしょうか。
代表的な症状でもある「手足の震え」や「動きが遅い」「すぐに躓く」などは顕著に見られたのですが、
何より私がショックだったのが「口数が減った」ことでした。
会話をすることすら困難となると、ものすごく孤独感を感じてしまうのではないかと思ったのです。
実際そのようだったのですが、あるとき母から意外なことを聞きました。
「あんた(息子、娘)たちが帰省している間は、割と元気なのよ」。
なるほど、確かに最初の3年間感じたほど、最近では症状も進行していない気がしました。
最初は難病に冒されてしまったことで気持ちも沈み病状の進行も早まってしまったが、
ある程度症状が出尽くしたところで気持ちの切り替えが出来たため、さらなる症状の進行が抑えられている、と考える事は出来ないでしょうか。
発症当時の病気の進行具合を見ていたら、十年後は寝たきりというのを覚悟していましたが、
まったくそんなことはなく、不自由ながらも身の回りのことは自分で出来ています。
さらに私や妹が帰省すると、「無理しなくていい」と言っているのに、
お茶を入れたり、お菓子を出してきたり。
私も妹も親と同居していなかったのはむしろ幸いだったかもしれません。

「たまに帰ってくるときくらい、元気な姿を見せたい」と父も思うのでしょう。
本当に身体が動かないなら、そんなことを思ったところで身体は動かないはずです。
「気の持ちよう」で息子や娘に少しは元気なところを見せられる、というのは
ある意味この病気の意外な特効薬を示しているように思えるのです。

 

もしそれが正しいのなら、完治は難しくても病気の進行を遅らせるために、
家族に出来ることはまだまだあるのだなと思い、暇を見つけては顔を見せるようになりました。